礼服についてのマナーと豆知識〈Knowledge About Formal Dress〉

礼服には「正礼装」「準礼装」「略礼装」があり、『時間帯』『場所』『シーン』によって使い分けます。

モーニングコート、ディナージャケット、イヴニングコートなどの洋装は明治の初期に時間に関連する名称がついて入ってきました。 しかしながら、ディナージャケットをタキシード、イヴニングコートを燕尾服と、いつのまにか呼び方がかわってしまったために、その時間に何を着ればよいか混乱してしまうことになりました。
一般的に礼服は、格式の高い順に『正礼装』『準礼装』『略礼装』の3つのスタイルがあり、各種式典の終了時刻が午後6時(冬は午後5時)以前であれば『昼の装い』となり、それ以降であれば『夜の装い』を選ぶものとされています。

また、装いのルールについて忘れてはならないのが『場所』。その場所に相応しいものを着用します。 ここでいう場所とは、一般的な結婚式場やホテルなどの屋内とガーデンパーティーなどの屋内、特別に格式の高い会場などや少人数の会などでは着用するものが異なり、コーディネートするアイテムも変化します。 さらに参加する立場によっても着用する服をチョイスしなければなりません。具体的にいうと、会の主催側、あるいは招かれた主賓やゲストといった立場により、着用するものが異なります。

◇ 着用マナーの目安 ◇

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(●)印が相応 1.モーニングコート
〈昼の正礼装〉
2.ディレクターズスーツ
〈昼の準礼装〉
3.ブラックスーツ
〈昼夜の略礼装〉
4.タキシード
〈夜の正礼装〉
主賓 列席者 主賓 列席者 主賓 列席者 主賓 列席者
結婚関連 格式のある式や披露宴 ▲※1
一般的な式や披露宴
略式の披露宴
弔事関連 葬儀・告別式
一周忌までの法要
通夜
三回忌以降の法要
※2

※1 格式のある慶事や式典では燕尾服が最も相応しい
※2 急な弔問や通夜の場合はダークスーツでもかまいません
※ 礼服着用マナーは諸説ありますので、あくまで参考としてご活用ください

以下に、別項にてそれぞれの礼服の着こなしについてご紹介させていただきます。ご参考になれば幸いです。

1. モーニングコート【Morning coat】昼の正礼装

モーニングコート

モーニングコートは元来、乗馬服でしたが、19世紀中頃、昼間の正礼装に制定されました。朝から午後6時(午後5時)の装いです。

格式の高い式典、葬儀・告別式などにおいても着用します。

本来、フォーマルウェアは着用する時間帯にも厳格なルールがあり、昼と夜を分けるところから「ビフォー・シックス」「アフター・シックス」と称されます。

新郎新婦が正礼装の場合、父親はモーニングコート、夕刻からの会であればタキシードです。

他に昼の正礼装としてフロックコートもあります。

  • 結婚式 披露宴の新郎、新郎新婦の父親、媒酌人、主賓
  • 入卒業式や各種記念式典の主催者側概評、主賓
  • 国家主催の式典、パーティー、レセプション
  • 表彰式の受賞者
  • 葬儀・告別式の喪主及び親族
  • 昼間に催される格式の高い式典やパーティーなど

モーニングコート着用時のアイテムとマナー

アイテム マナー
コールパンツ
STRIPED PANTS
正式にはストライプド・トラウザーズと呼びますが、日本では一般的にコールパンツと呼びます。
裾口はシングルで、前上がりのモーニングカットを。
ベスト
VEST
必ずベストを着用します。
ジャケットと同じ黒生地(脱着式白衿付き)か慶事では淡いグレーでもOKです(国際的には淡いグレーが一般的)。
※弔事の場合は黒のベスト(白衿は外す)。
シャツ
SHIRT
白無地のウイングカラーまたはレギュラーカラーで、袖はダブルカフスのものを着用しましょう。
※弔事にはレギュラーカラー。
タイ
TIE
白黒の縞柄か、シルバー系の結び下げ、またはアスコットタイ。
アスコットタイの場合にはウイングカラーシャツを着用します。
※弔事には黒の結び下げ。
ポケットチーフ
POCKET CHIEF
正式には麻かシルクの白を用いります。シルバーグレーでも良いとされます。
ポケットチーフは3ツ山が最もフォーマルな挿し方です。
※弔事は不要。
サスペンダー
SUSPENDER
黒または白黒の縞柄のサスペンダーを着用します。
スタッド&カフスボタン
STUD&CUFFLINKS
ゴールドまたはシルバーの台に、真珠や白蝶貝など白い石のもの。
※弔事の場合は黒に限ります。
靴下
SOCKS
黒無地のソックスまたは白黒の縞柄を着用します。
※弔事には黒のソックスが基本

SHOES
黒の内羽根ストレートチップが基本ですがプレーントゥでもよいとされます。

2. ディレクターズスーツ【Director's suit】昼の準礼装

ディレクターズスーツ

ディレクターズスーツは、昼の準礼装。朝から午後6時(冬は午後5時)までの装いです。

その歴史は第二次世界大戦前に欧米で流行した取締役(Director)の執務服がもととなっており、モーニングに次ぐ昼の準礼装になりました。

日本では、ブラックスーツ(略礼服)の上着とモーニングのコールパンツを組み合わせて商品化されたものです。

一般的には、世界の人々が認めるグローバルスタンダード(世界基準)の昼の礼装のひとつです。

  • 結婚式、披露宴、結納式
  • 国家式典から各種パーティー、レセプション
  • 入学式、七五三、音楽会、発表会
  • 表彰式の受賞者
  • 格式ある葬儀・告別式など昼間開催される各種式典など

ディレクターズスーツ着用時のアイテムとマナー

アイテム マナー
コールパンツ
STRIPED PANTS
ブラックスーツの上着に縞柄のコールパンツを合わせます。
裾はシングルが原則です。
※弔事には巾の狭い縞柄のほうが良い
ベスト
VEST
上着がシングルの場合は必ずベストを着用します。
色は淡しグレーやシルバー、オフホワイトなど。
上着がダブルの場合はベストを省略してもかまいません。
シャツ
SHIRT
白無地のレギュラーカラー、またはウイングカラー。
袖はダブルカフスのものを着用しましょう。
※弔事にはレギュラーカラー。
タイ
TIE
シルバーまたはシルバーグレーの結び下げが基本となります。
白黒の縞柄でもよいとされます
※弔事には黒の結び下げ。
ポケットチーフ
POCKET CHIEF
シルクまたは麻の白系が基本となりますが、ネクタイと同系のシルバーグレーでもよいとされます。
※弔事は不要。
サスペンダー
SUSPENDER
黒または白黒の縞柄のサスペンダーを着用します。
カフスボタン
CUFFLINKS
真珠や白蝶貝など白い石のものが最適。
※弔事の場合は黒に限ります。
靴下
SOCKS
黒無地のソックスまたは白黒の縞柄を着用します。
※弔事には黒。

SHOES
黒の内羽根ストレートチップが基本ですが、プレーントゥでもよいとされます。

3. ブラックスーツ【Black suit】昼夜の略礼装

ブラックスーツ

ブラックスーツは昼夜を問わず着用できるので、慶事・弔事に着用できるオールマイティな礼服(略礼服)として定着しています。

シングルとダブルがありますが、シングルの場合はベストを着用するほうが良いでしょう。

ベストは、弔事の場合は黒ですが、慶事やパーティーなどの場合はグレー・白・チェック柄や織柄などでコーディネイトしてみてはいかがでしょう。

パンツの裾はシングルです。

  • 結婚式、披露宴、結納式
  • 国家式典から各種パーティー、レセプション
  • 入学式、七五三、音楽会、発表会
  • 葬儀・告別式など昼夜を問わずほとんどの慶事・弔事に

ブラックスーツ着用時のアイテムとマナー

アイテム マナー
シャツ
SHIRT
白無地のレギュラーカラーで、袖はダブルカフスのものを。
タキシードのように着こなすならウイングカラーでもOK。
※弔事にはレギュラーカラー。
タイ
TIE
白やシルバー及びシルバーグレーの結び下げですが、白黒の縞柄でもかまいません。
くだけた場には色柄物や蝶タイなども使用できます。
※弔事には黒の結び下げ。
ポケットチーフ
POCKET CHIEF
シルクの白系やシルバーグレー。パーティーなどは色柄物もOKです。
※弔事は不要。
サスペンダー
SUSPENDER
黒または白黒の縞柄のサスペンダーを着用します。
カフスボタン
CUFFLINKS
真珠や白蝶貝など白い石のものが最適。
ラフな着こなしならシルバー系も。
※弔事の場合は不要。
靴下
SOCKS
黒無地のソックスまたは白黒の縞柄を着用します。
※弔事には黒。

SHOES
黒の内羽根ストレートチップが基本ですが、プレーントゥでもよいとされます。

4. タキシード【Tuxedo】夜の正礼装

タキシード

タキシードは最もスタンダードな夜の正礼装。午後6時(冬は午後5時)からの装いです。

厳格にいえば燕尾服が夜の正礼装でタキシードは準礼装になりますが、現代では燕尾服を着ることがほとんどないため、タキシードを実質的な夜の正礼装として着用できます。

晩餐会やパーティーまで気軽に着られる礼服として世界中の多くの人々が愛用しているグローバルスタンダード(世界基準)の礼服です。

格式の高い場ですと黒生地に黒タイですが、場によっては他の色や上下異なる色、さらにシャツや小物のアレンジで個性的なコーディネイトを楽しむこともできます。

  • 招待状に「ブラックタイ」指定のあるパーティー
  • 夕方からの結婚式・披露宴
  • 公式晩餐会から各種パーティー
  • 音楽会、観劇の初日夜間に催される各種式典やパーティー

タキシード着用時のアイテムとマナー

アイテム マナー
側章パンツ
SIDE STRIPE PANTS
脇の縫い目に沿って側章(衿と同じ素材)が縫い付けられたもの。
袖はシングル。
シャツ
SHIRT
白無地のウイングカラーが主流。
ウイングカラーで前身頃にプリーツが入ったものがよりドレッシーな装いに。
ポケットチーフ
POCKET CHIEF
正式には麻かシルクの白が使用されますが、蝶タイと同色にしたり、時と場合に応じて楽しむことができます。
サスペンダー
SUSPENDER
黒が基本となりますが、タイやポケットチーフと同様に個性的に。
カマーバンド
CUMMERBUND
上着がシングルの場合には、必ずベストまたはカマーバンドを着用します。
近年では大半がカマーバンドを着用する傾向にあります。ただし、上着がダブルの場合は省略してもかまいません。
正式な場では必ず黒を用いますが、くだけた場では色柄物で着こなすのもよいでしょう。
スタッド&カフスボタン
STUD&CUFFLINKS
オニキス・黒蝶貝など黒い石のものを使用します。
ゴールドやシルバーの台がベストです。
スタッドとはシャツのフロントを留めるボタン代わりのアクセサリーで、比翼仕立てのシャツの場合は不要です。
タキシードは小物に至るまで黒で統一しておけば、格式が高く上品な着こなしとなります。
靴下
SOCKS
黒無地のソックスを着用します。

SHOES
黒のエナメル素材のオペラパンプスが基本ですが、プレーントゥでもよいとされます。金具を使った靴は避けましょう。

ドレスコードについて

ドレスコード(dress code)とはTPOに合わせた服装のことで、何を着用したらよいか等の目安や基準となるものです。

現在、日本にあるドレスコードは、明治時代の洋服文化の登場とともに英国から取り入れられたものがベースとなっています。実際は欧・米・大陸・英国で異なります。

例えば、結婚式や式典などにご招待されたときに「平服でお越しください」など書いてある場合があると思います。

では「平服とは・・・」、また格式高い式典などでは「ブラックタイ」などのドレスコードが指定してある場合もあります。

日本は和洋折衷な上に様々なしきたりのある国ですので、基本知識をマスターされるとよいかと思います。

ドレスコードの語句と意味

語句 意味
平服とは? 濃紺やダークグレー(チャコール)などのダークスーツにネクタイ着用。
フォーマルとは? モーニングコード、タキシード(ディナージャケット)、ディレクターズスーツ、ブラックスーツ、ダークスーツにネクタイ・ドレスシャツ・カマーバンドなどをコーディネイト
セミフォーマルとは? ブレザー、スーツ、ジャケットにネクタイ着用
ブラックタイとは? ブラックタイとはタキシードの代名詞です。
よほど格式の高い晩餐会でもない限り黒のタキシードや黒の蝶タイにこだわる必要はありませんが、タキシードは必ず着用してください。
各式典やパーティーの趣旨・場所・場合によっては黒以外のタキシードで個性的なコーディネイトをされてもよいかと思います。
ちなみに、ホワイトタイとは燕尾服のことを指します。

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